死ぬのはいつも他人

1世紀ほど昔の画家、故マルセル・デュシャンの墓には、
「されど死ぬのはいつも他人なり」というような言葉が刻まれているらしい。
何とも哲学的だ。

2年ほど前、自分の祖父が心筋梗塞で急死したときのこと、
全く動かない祖父の亡骸を前にしてこの言葉を思い出し、
死というものを強烈に感じたのだった。

まあ、祖父の死とマルセルの言葉とは全く相関は無かったのだが、
その後、死亡事故や殺人事件のニュースを見るたびに、
マルセルの言葉を思い出すようになった。

自らの死を経験したことのある人はいない(はず)。
おそらく、生きている限り、死ぬのはいつも他人だ。
つまりは、死ぬのが他人である限り、生きている。
なんだか、マルセルに生きているというイメージを教えられた気がする。